「自分の木」
心理学者の河合隼雄さんは、小説家の大江健三郎さんの「自分の木の下で」(朝日新聞社)という本が好きだと自著「神話の心理学」(大和書房)の中でおっしゃっておられる。
以下興味深い文章なので気に入った部分を抜粋します。
河合隼雄さんの文章
「大江さんの故郷では、森の中に必ず「自分の木」がある、という話を紹介され、大江さんが子供の時に、その「自分の木」に会いにいくと、年をとった大江さんの姿が現れ、いまその木に会いにいくと、自分の子供時代の姿が現れる、という印象的な話を語っておられる。
一本の木が一人の人の存在を支え、その木をめぐって、一人の人の人生が展開する。・・・」
あまりに凄い文章なので圧倒される。
大江健三郎先生と河合隼雄先生の鋭い感性には、ただただ敬服するしかない。
私は15歳まで山に囲まれた自然がいっぱいの場所で過ごしました。
小学生の頃、毎夏、山の麓の橡の木の下に甲虫やクワガタムシを採集しに出掛けておりました。
父に連れられ、古木と古木の間の狭い通路を通り抜けながら山中に分け入って、木通を取って食べたり、山菜を取ったりもしておりました。
近所の友達と裏山に登って、落ち着く木の傍に秘密基地を作ったりもしました。
いま思えばあの時も私にとっての「自分の木」は確かにそこに存在し、私に静かに語りかけていたのですね。
そしていま私がその木を訪問したとすると果たして子ども時代の私が現れるのだろうか。
なんだか無性に自分の木に会いに少年時代を過ごした故郷を訪ねたくなりました。
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