詩
谷川俊太郎さんの著書「詩の本」(集英社)の中の「ただ生きる」という詩は、わたしたちが普段何気なく行っているさまざまな動作や状態が、実はどれほど物凄いことで、ありがたいことであるのか、当たり前なんかでは決してなく感謝に値することなのかについて、見事なまでに凝縮された形で表現されています。
人間の身体と心は、実は極めて危うい均衡で支えられ、ほんの些細なことでバランスを崩してしまう危ういものである。
健康は失って始めてそのありがたみ、その貴重さに気付く性質のもので、だからこそ、健康な人も健康を害してしまった人も、健康であることの重要さと「生きる」ということの意味をしっかりと考えましょうねとこの詩は訴えているように私には思える。
ただ生きる
立てなくなってはじめて学ぶ
立つことの複雑さ
立つことの不思議
重力のむごさ優しさ
支えられてはじめて気づく
一歩の重み 一歩の喜び
支えてくれる手のぬくみ
独りではないと知る安らぎ
ただ立っていること
ふるさとの星の上に
ただ歩くこと 陽をあびて
ただ生きること 今日を
ひとつのいのちであること
人とともに 鳥やけものとともに
草木とともに 星々とともに
息深く 息長く
ただいのちであることの
そのありがたさに へりくだる
「詩の本」(谷川俊太郎 集英社)より引用させていただきました。
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