東北の被災者に思いを馳せて俳句を詠む(3)
東日本大震災で大切な家族を津波の被害で亡くした方はたくさんいらっしゃいます。
巨大地震と津波の被害で亡くなった死者数は先月11月22日時点で15839人、行方不明者数は3632人です。
あの日あの時間、三陸沿岸部で実際に起こってしまった状況を新聞、テレビの報道をもとに一人静かに頭の中で想像してみると恐怖と不安で心が騒めき始めます。
背後からひしひしと迫りくる津波を全身で感じながらひたすら高台へと駆け登る少年少女は、どれほど不安と緊張で恐ろしかったことでしょう。
津波の高さや勢いから半ば観念しながらなんとか助かる方法を探そうと最後の命懸けの行動をする人たちは、どんな精神状態に見舞われたのでしょう。
命が助かった人、命が助からなかった人、それぞれが、あの時あの瞬間に何を思い、何を願い、何を伝えたかっただろうかと想像してみました。
死を覚悟しながら必死で逃げている時、脳裏に何が過ぎり、家族、友人誰のことを頭に浮かべていたのであろうと想像すると胸が張り裂けそうになります。
運良く命が助かった人は、逃げ果せてほっとした安堵感とともに極度の興奮や襲ってくる恐怖感で全身がぐたっと疲労感に包まれたのではないでしょうか。
そして地震、津波で亡くなった家族や仲間がいることを後で知ってどれほどの衝撃に襲われ、意気消沈したことでしょう。
たとえ地震、津波で運良く生き残ることが出来たとしても、原発事故による放射能漏出の被害や苦痛、家族を喪失した深い悲しみ、慣れない仮設住宅での不便と不安、放射能被害拡散の恐怖等で、すっかり疲れ果てくたくたになっている人も多くいると想像いたします。
生き残った方、亡くなった方を問わず、この度の東北の震災で被害に遭った方々に対し今の私に何が出来るかを考えてみました。
考えた結果、震災で亡くなった方に対しては鎮魂の思いを込めて俳句を詠むことにしました。
そして震災で生き残った人に対しては彼らがあの日あの時体験した恐怖や不安、緊張や興奮を想像しながら、また今体験している苦痛や心配、怒りや悲嘆の感情を想像しながら俳句を詠むことにしました。
想像して頭に思い浮かんだ俳句を一つずつ加えていきます。
今日は5首目を発表いたします。
○ 鳴き砂や移りし魂の仏の叫び
解説 鳴き砂とは、砂の上を歩いているとキュッキュッと鳴る砂のことです。鳴り砂あるいは泣き砂とも呼ばれます。
英語では、鳴き砂のことをsinging sand,whistling sandなどと呼びます。
岩手県上閉伊郡大槌町の浪板海岸や小久保海岸、宮城県気仙沼市の九九鳴浜や十八鳴浜、福島県いわき市の豊間海岸等に存在します。
足で踏むとキュッという鳴き砂のその音が、東北沿岸部を襲った津波で流され、命を失った人たちの魂の叫びに聞こえると謳いました。
津波により肉体を失った魂が、その躯を求めて海岸線の砂に霊魂を宿らせ、精霊を乗り移らせることにより、生前に家族や親しい人に告げたかった大切なことをなんとか伝えようと音を出し、メッセージを送っているように私には感じられる。
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